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今年度から本格的にスタートした「データヘルス計画」について、厚生労働省の関係協議会で座長を務めた辻一郎・東北大教授は21日、東京都内で開かれたメディアセミナーで講演し、医療ビッグデータを活用して個々に合った対策を立てるという健康戦略の有効性を強調した。【烏美紀子】
データヘルス計画は、すべての保険者がレセプトや健康診断などのデータ分析に基づき、加入者それぞれに効果的な保健事業に取り組むもの。生活習慣病の治療が必要と思われるのに医療機関を受診していない人や治療効果が見られない人を抽出して受診勧奨や保健指導を行ったり、同業種と比べて喫煙率が高いといった職場の健康課題を明確にしたりなどの取り組みがイメージされている。社会保障費の適正化などを狙って日本再興戦略に盛り込まれ、保険者は事業計画の策定が求められた。
計画作成の指針取りまとめなどに携わった辻教授は、超高齢・人口減少社会の中で社会保障制度を持続させるためには、年金よりも伸び率の大きい医療・介護費をいかに抑制できるかが課題だと指摘。「労働力人口も高齢化していく中、職場の健康管理がこれまで以上に重要になる」と、データヘルス計画の背景を説明した。
▽近年の肥満・メタボリック症候群対策で肥満者や糖尿病患者の増加に歯止めがかかっている▽宮城県大崎市を中心としたコホート研究などから、喫煙・肥満・運動不足を改善することで国レベルでは5兆円規模の医療・介護費削減が期待される―とし、効果的な健康づくり対策によって生活習慣病の発症・重症化を予防する意義を述べた。
ただし、ハイリスク者に受診勧奨するなど積極的に介入することで、短期的には医療費の増加が見込まれることにも言及。福島県西会津町では健康づくりの取り組みの数年後から医療費が下がり始めたことを紹介し、「最初の数年は当然増える。そこで誤った評価をすると、計画はとん挫してしまう。予防から治療まで一貫して見ることで、全体的な最適化が可能になる」とした。
セミナーはアイ・エム・エス・ジャパン社が開催。同社はデータ分析・評価などを通じて、データヘルス計画を実行する保険者を支援するサービス事業を展開している。
引用:ビッグデータ活用で医療費最適化を-データヘルス計画の意義を強調
引用:ビッグデータ活用で医療費最適化を-データヘルス計画の意義を強調