忍者ブログ

ブランドバッグ・かばん・小物 最新情報

あの欲しかった最新商品がすぐに検索出来ます

「ITさえ入れれば教育は良くなる」は間違い? 北欧IT先進国で検証

ツインアダルトアフィリエイトで稼げるまでサポートします

 スウェーデンのソレントゥナ市は、人口約7万人の小規模都市だ。同市は2010年という比較的早期に、タブレットやノートPCの1人1台環境を教育機関に整備する計画を発表。IT先進国ともいわれるスウェーデンにあって、いち早く端末の1人1台環境を推進し、紙の教科書を原則として廃止するなど、思い切ったIT活用を進めている。

【学習方法による合格者の割合の違い】

 一見華やかなソレントゥナ市のIT活用。だがその裏には、さまざまな挫折や工夫の積み重ねがあった。2015年4月、来日した同市の教育事務所のアニカ・アゲリ・ゲンロッツ氏が、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターで講演した。本稿はその内容を基に、同市のIT活用の経緯と、興味深い効果検証の結果を紹介する。

●IT導入の経緯は「ハイプサイクル」のよう

 ソレントゥナ市のIT環境整備は、常にスムーズに進んできたわけではない。同市教育事務所のゲンロッツ氏は、その道のりを米Gartnerの「ハイプサイクル」になぞらえて説明する。ハイプサイクルは、技術の成熟度と採用率の変化を示すグラフのことであり、新技術への注目が高まる「過度な期待のピーク期」から、期待と現実のギャップによる「幻滅期」を経て、広く普及する「生産性の安定期」に至るまで、技術のライフサイクルを示した図だ。

 政治主導で1人1台の端末環境整備という方向性が決まった2009年、2010年ごろは、「期待はどんどん上昇し、『何でもできるのでは』という非現実的な期待も高まっていった」とゲンロッツ氏は振り返る。ハイプサイクルでいう「過度な期待のピーク期」だ。ところが、実際に生徒に端末を与えて活用が始まると、その熱が一気に冷めて「幻滅期」を迎えたという。その原因となったのが、ネットワークの接続性だ。「端末の利用が進むにつれて、ネットワークがきちんと動いていないことが徐々に明らかになり、取り組みに対する批判も招いた」(同)という。

 それでも、現在に至るまでIT活用を進めることができたのは、「幸いなことに、政治家も校長も、1人1台の端末を与えることに対して統一した見解を持っていたことが大きい」とゲンロッツ氏は強調する。ネットワーク環境の改善も進み、2015年の段階で「ある程度の目標にまでは達することができた」(同)という。

●整備したのに使われないIT

 スウェーデンのIT機器整備は、ヨーロッパの中で特に進んでいる。2012年の終わりには、7歳から15歳まで9年の義務教育課程である基礎学校の8年生について、端末の整備状況がヨーロッパでトップとなった。具体的には、端末1台を学習者何人で使用しているかを比較すると、欧州連合(EU)平均が5人であるのに対して、スウェーデンは2人。4年生でもEU平均7人に対して4人と、倍程度の整備率を誇る。

 これほどまでにIT機器が整っていたにもかかわらず、スウェーデンでは当時、「ITはそれほど使われていなかった」とゲンロッツ氏は明かす。当時の調査によると、スウェーデンの教員の約20%が「ITは普通の授業を邪魔するものだ」と考えていたというのだ。もちろん、「ITを授業に統合することには賛成だ」と考える教員も30%とかなりの数がいたのも事実。ただし、用途はインターネット検索など限定的であり、「授業でのIT活用で先行した教員はそれほど多くはなかった」(同)という。

●「学習モデル」が打開策に

 こうした状況を打破すべくソレントゥナ市が取った策は、テキスト作成を軸に全般的な基礎学力向上を目指す「Write to Learn(WTL)」という学習モデルの策定だ。以下に示す学習・教育サイクルを、基礎学校の1年生に当たる7歳の学習者から実践する。


1. 学校や教員が、スウェーデンの学習指導要領に当たる「Lgr 11」を基に、達成すべき目標を整理
2. 実際の学習に入る前に、教員が学習者に「学びの面白さ」を説明
3. 学習者が、誰に向かって書くのか、何を書くのか、どういう形で書けばよいかなどの戦略を立案
4. 学習者が2人でペアになり、実際にテキストを作成
5. 学習者が、完成したテキストを教員や他の生徒と共有
6. 教員がテキストを評価

 WTLの学習プロセスの中には、IT製品/サービスが自然な形で結び付けられている。特に利用しているのが、米Googleの各種オンラインサービスだ。スウェーデンでは、基礎学校の1年生からGoogleアカウントを持たせており、WTLでもGoogleのサービスを積極的に活用している。 具体的には、4番目の文章作成にはオンラインファイル同期/ドキュメント作成ツール「Google Drive」を活用。5番目のテキスト共有には、Webサイト作成ツール「Google Sites」を利用する。

 特にゲンロッツ氏が強調するのが、オンラインでのテキスト共有による効果だ。「テキストを評価する人は今まで教員1人だけだった。それが、ITの活用で評価する人が20人、30人、60人と増えていく。これがIT活用を成功に導くキーポイントだといえる」(同氏)

 例えば、ある学習者が書いたテキストに対して、どう改善すべきかをGoogle Sitesのコメント機能を使って学習者同士で議論し、教員もその議論に参加する。「書くことがあまり得意ではない生徒は、何度もGoogle Sitesにアクセスし、どんなレスポンスがあったかを見て改善していく」(ゲンロッツ氏)。教員だけではなく、学習者にとってより身近なクラスメートも交えた議論を通して、「学習者に自信を付けてもらいたい」(同)という思いもあるという。

●先生も生徒と同じ学習モデルで学習

 WLTに基づく学習をしているのは学習者だけではない。教員もWTL習得のために、同様の学習モデルに基づいた約1年の研修を受けるという。教員はWTLに関する講義を受講後、実際に現場で試行し、その結果の分析をGoogle Sitesで共有する。指導担当の教員が、研修を受ける教員の分析にコメントしたりもする。「学習者が学習するように、教員も自分たちがどう学んだかを示し、それに対する批判や学習を重ねていく」(ゲンロッツ氏)。こうした教員研修は既に5年実施しており、WTLを習得した教員は約200人に及ぶ。「その背後には5000人の学習者がおり、WTLに基づいた学習がきちんとできる学習者がこの規模までいることを意味する」と同氏は語る。

●検証で分かった、「単なるIT導入は逆効果」という事実

 IT導入に加えて、その効果的な利用を目指した学習モデルも開発したソレントゥナ市。ただし、せっかく整備したITや学習モデルも、実際の効果に結び付かなければ意味がない――。こうした考え方に基づき、同市はITやWTLの効果測定にも積極的に取り組んでいる。

 1年生90人を対象としたWTLの効果検証では、WTLに沿って学習した生徒は、従来の伝統的な方法で学習した生徒と比較して、書くテキストの長さも長く、文法的にも正しいテキストを書く傾向があることが分かったという。WTLに基づく学習を通して書くことに自信が持つことができた学習者は、「算数など他の学習でも良い結果を示すようになってきている」とゲンロッツ氏は語る。

 興味深い結果が現れたのは、スウェーデンの全国テストの対象学年である、3年生約500人を対象とした効果検証だ。以下3種類の各学習方法について、国語(スウェーデン語)と算数の2教科の全国テストで合格点を獲得した学習者(合格者)の割合を比較した。

・WTLに基づく(ITを活用する)学習方法
・WTLに基づかず、ITも活用しない伝統的な学習方法
・WTLに基づかず、ITだけを活用した学習方法

 結果を見ると国語・算数ともに、WTLに基づき、かつITを活用した学習方法の合格者の割合が最も高い結果となった。検証では男子、女子、男女それぞれについて合格者の割合を算出しており、男女ともにこの結果は同じだった。これは想定通りの結果だといえる。

 注目すべきは、最も合格者の割合が低かった学習方法だ。女子の国語は例外であるものの、最下位は伝統的な学習方法ではなく、WTLに基づかずITだけを活用した学習方法だったのである。「ITをどう使うか分からないまま教育をしても、最も悪い教育結果しか得られない」(ゲンロッツ氏)ということだ。

 上記は、ソレントゥナ市という一自治体による、学年も教科も限定した検証結果にすぎない。ただし、ITをどのような形で教育に生かすのか、そもそもどのような教え方をするのかを明確にしないままIT活用を進めれば、ITは宝の持ち腐れになるだけでなく、教育にマイナスの影響を与える可能性も否定できないという教訓を与えるものだといえる。

【関連記事】


引用:「ITさえ入れれば教育は良くなる」は間違い? 北欧IT先進国で検証


The Million Writingで稼げるまでサポートします
PR


引用:「ITさえ入れれば教育は良くなる」は間違い? 北欧IT先進国で検証


The Million Writingで稼げるまでサポートします
PR
" dc:identifier="http://rakuten2008.blog.shinobi.jp/%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%B0/%E3%80%8Cit%E3%81%95%E3%81%88%E5%85%A5%E3%82%8C%E3%82%8C%E3%81%B0%E6%95%99%E8%82%B2%E3%81%AF%E8%89%AF%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%80%8D%E3%81%AF%E9%96%93%E9%81%95%E3%81%84%EF%BC%9F%E3%80%80%E5%8C%97%E6%AC%A7i" /> -->